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ニューイヤー・コンサート2001

ニューイヤー・コンサート2001

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ニューイヤー・コンサート2001

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アーノンクール+ウィーン・フィル=相思相愛
先のレビュアーが言いたいことのほとんどを書いてくださっているので、補足程度に。ウィーン・フィルのコンサートマスターがインタビューに答えたときの彼の弁です。

「ガーディナーは真面目過ぎます。彼の一挙手一投足までをも管理するような指揮の下では楽団員はみんな力が入りすぎてしまって伸びやかな演奏は出来ません。ラトル?あの猿のような顔はいただけませんね、噴出してしまいそうになります。ウィーン・フィルの望む指揮者ですって?・・・アーノンクールですね。彼の音楽に対する敬虔で真摯な態度は我々の価値観とぴたりと一致するものです」

ちなみにカルロス・クライバーが存命中のインタビューです。

これを僕からのレビューの代わりにします。

歴史上もっとも真摯な<新年>
言わずと知れた2001年のニューイヤーコンサートのライブ映像。異端にして奇人変人がその後<鬼才>と変じて、最近十年はドイツ・オーストリアの人気ベストスリー指揮者にして<マエストロ>となったアーノンクール。彼はウィーンフィルのエキストラで弾いたこともあり、ボスコフスキー以来のメンバー経験者の指揮による<ニューイヤー>となった。
ニューイヤーコンサートの歴史上もっとも、真摯な演奏だろう。祝祭的な気分、新年しか大目に見てもらえない楽団員のギャグ?を極力排した、普通の緊張した演奏会である。吉田秀和氏(日本におけるアーノンクールの最初の理解者の一人)が、方々で「これはニューイヤーコンサートではない!」と発言しておられる。氏の発言は「ここまで伝統を壊さなくていいじゃないか」的な<怒り>文脈での批判である。
2000年の早いうちに、アーノンクールの指揮が決まったが、その時から彼は「例年のようなご祝儀演奏会には絶対にしない」と公言しており、言行一致の人:アーノンクールはそれを貫徹してしまった。この一夜の演奏会も「ウィーンのポルカ・ワルツの歴史 シュトラウス一族とヨーゼフ・ランナー」とでも言うべきプログラムであり、演奏の真面目さもそれを補強する。
冒頭、まず【ラデツキー行進曲】の原曲に驚かされる。行進曲の堅いリズム、打楽器の先導、聴いたことの無い内声部の動き・・・これこそがオーストリアの英雄ラデツキーに捧げられた機会音楽としてのこの曲の原点であるのだ。作曲家のラデツキーに対する尊敬の念まで感じられ、通俗化したラデツキー】は全く別物である。
そしてヨーゼフ・ランナーの古典的な雅さをたたえた曲、シュトラウス一族の曲が続くが、アーノンクールの指揮は驚くほど克明・真剣であり、笑顔が皆無である。当然、楽団員にも笑顔は少ない。もちろんお定まりのギャグはあるが最小限であり、新年の挨拶も紳士的陽気さにとどまる。
【通俗版ラデツキー】は例年通りアンコールの最後に演奏された。これがこの年の最大の見せ場だったのかもしれない。ここの面白さ、アーノンクールの問題提起の意味は、DVDでしか分からない。アーノンクールはここでも異例なことをやった。例年だと【ラデツキー】は曲の開始とともに聴衆の拍手で、何が何だか分からなくなるのだが、指揮者はは、なんと聴衆の方に振り向いて、聴衆の手拍子に応じたダイナミックスを指示したのだ。なるほどこの方が、オケの音と手拍子の音が効果的にバランスされ、聴衆と音楽家の共同作業のイメージになる・・・
要するにアーノンクールはこう言いたいのだろう。ニューイヤーコンサートとシュトラウス一族の音楽を、ウィーンの観光ガイドにとどめてはいけない。そしてせっかく音楽を聴くのだから、効果的で感動が大きくなるような聴き方をする努力を、聴衆の側もせねばならない。そして先入観で音楽作品の価値を決めてはならない=ランナーのようなハイドンに匹敵する天才の作品が忘れ去られているのは、聴衆の先入観ゆえなのである。
世界最大の音楽教師:アーノンクールの面目躍如たる演奏会であった。小沢征爾の方が柔軟で楽しいが、こういう新年も一回ぐらたって?

拡張高きハプスブルグ文化を再現
近年のニューイヤーコンサートにはない、ハイレベルな演奏です。ワルツをウィーン風に洒脱で処理するのではなく、ハプスブルグ以来の伝統的な音楽芸術として、正確な造詣で再現しています。これはひとえに、アーノンクールの芸術観の賜物でしょう。アーノンクールのリアルな解釈と、ウィーンフィルの古き良き音色が、理想的に融合した、素敵なコンサートとなっています。ラデツキー行進曲原典版に始まり、ラデツキー行進曲通俗版(手拍子付き)で終わるアーノンクール・ニューイヤーは、「ああ、あの年のニューイヤーね」と後年でも語り継がれるものとなるはず。みなさんもご一緒に。


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